“ まず、若いうちは年上の人たちからなめられます。
 「こいつはたいしたことないだろう」という顔で、
 つきあってくれる人が、多いものです。
 若い人がたとえばなにかを取材する場合には、
 取材される側が、油断した分だけ余計に、
 いろいろしゃべってくれたりもします。
 また、バカでもわかるように語ってくれたりもします。
 これは、無用な警戒をされるより、ずいぶん得でしょう。
 
 また、職業や性別によっても、なめられるものです。
 たとえば、水商売をしていたりすると、
 お客として来ている人たちが、
 意識するしないにかかわらず、しっかりなめてくれます。
 そこで観察できる人間の表情というものは、
 なかなかに奥深いものがあると思います。
 人間には、公式でない時間というものがあるのですが、
 そういう場面に参加できるのは、
 「親しい者」と「なめられた者」だけです。
 いろんな人の、なかなか複雑な面を見られるでしょう。 
 
 「なめられる」のは、けっこう勉強になるんです。
 ただ、そこで「がっかり」しないことが大事なんです。
 人間の表裏を知って、それを「がっかりした」とか 
 「見損なった」とか感じるのではなくて、
 「おもしろいもんだなぁ」と思うのが、
 「なめられろ」のコツではないでしょうか。
 なめられている間に学ぶことは、すごく多いのです。”

Notes

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